読書感想文〜本紹介〜『同時代ゲーム』2024.09.30 月 12:17
今回紹介する小説は大江健三郎氏の長編小説『同時代ゲーム』です。
この小説は書簡体形式で進行する小説で語り手から妹に宛てた手紙で物語が描かれるという割と珍しい小説になります。
こういった形式なので感情移入もしにくく、文体も硬く非常に読みづらい小説で、自分も途中で最後まで読むのを諦めそうになったのですが後半に行くに連れてどんどん物語に引き込まれていって最終的には読み終えることができました。
内容としては江戸時代に四国の山奥に脱藩者によって創建された「村=国家=小宇宙」という語り手の故郷の神話や発展、闘争の歴史を描いた物でとても不思議な世界観なのですが、面白い人物が多数出てくるので個人的には面白いなと思った作品です。
生々しい描写や硬い文体などて読む人を選ぶ作品だと思いますがこの著者の作品に同じ世界観で読みやすくなっている『M/Tと森のフシギの物語』という作品があるのでそちらを読んでもいいかもしれません。
著者はノーベル文学賞の受賞者で代表作の『万延元年のフットボール』という作品もオススメです。